暑い日がまだまだ続きますが、厨房や工場など排気の多い場所において、夏のエアコン能力は足りていますか?また、必要以上に能力が高過ぎてイニシャルコストが高くなっていませんか?
排気フードなどからの排気量を考慮することなくエアコンの選定をしてしまうと、能力が足りずエアコンが十分に効かなくなってしまいます。
また、必要な能力より数ランク上の馬力のエアコンを取り付けてしまうと、契約電力が高くなってしまい無駄なイニシャルコストがかかってくる可能性があります。
このような選択ミスをおこさず、コストにおいても心地よさにおいても最適なエアコンを設置できるようエアコンの選定をしましょう。
外気負荷から求めるエアコンの選定
厨房に空調を設置する場合は、厨房の広さに見合った空調を選ぶだけでは馬力が足りません。なぜなら、一般の住宅・オフィスに比べて排気量が多いからです。外気負荷を計算し、その分を上乗せした空調を選ばなくてはなりません。
実は、夏季にエアコンがよく効いたからといって冬季のエアコン能力が大丈夫だとは限りません。なぜなら、冷房より暖房の方が消費電力が高く「快適な温度」との温度差も夏季より冬季の方が大きいからです。そこで、より消費電力の大きい冬季の状況下を例にエアコンの選定をしてみましょう。
下図を例に外気負荷の計算をしてみましょう。
- 天井扇 Φ150 :200m3/h(又はCMH)
- フード換気量 :1,300m3/h
(換気量の計算の詳細は、「1からわかる!給気口の選び方【換気量の計算】」をご覧ください。) - 居室換気量 :上記(200m3/h+1,300m3/h)以上の量とします。
建築基準法施行令第20条の2に準じる(V=20Af/N) - 火気使用による換気量:V=40KQ又はフード面風速からの換気量の大きいほうを用います。
- 24時間換気量 :居室(条件により0.5〜0.7回/h)内の空気の入替
〚室温20℃、外温0℃〛時の外気負荷
Q =0.24(定圧比熱 Kcal/Kg.deg)×1.2(空気の比重量 Kg/m3) X V(換気風量 m3/h) X Δ(室内外の温度差 dt)
- 定圧比熱:0.24Kcal/Kg.deg
- 空気の比重量:1.2Kg/m3
- 比熱.比重量= 0.24Kcal/Kg.dt X 1.2Kg/m3 = 0.288Kcal/m3.dt
- 室内外温度差:△t=20-0
- 1Kw=860Kcal/h
Q = 0.288×1,500×(20-0)=8,640Kcal/h(10kw)
上記の条件においては、8,640Kcal/hの熱量を消費します。
フード近くに換気口を設けてショートサーキットさせることで、この場合は外気負荷を300m3/h減らすことができます。
Q = 0.288×300×(20-0)=1,730Kcal/h
Q = 8,640Kcal/h-1,730Kcal/h=6900Kcal/h(8kw)
室内循環換気の場合のエアコンの選定
例えば、調理対象器具がガスや薪・炭を使用する場合は、COが発生しますので屋外に排気をしなければなりません。しかし、電気やIHなどCOを発生させず、回りの空気の温度を著しく上げることのない器具の場合、排気フードは屋外へ排気をしなくとも室内循環で厨房に戻すことができます。
そのような場合は、調理で汚れた空気(油・臭い・熱等)を排気フードで吸い上げ浄化し元の厨房に戻しますが、もともと空調された「快適な温度」に近い温度になっている空気ですので、温度差のある空気を1から空調する必要はありません。
つまり、室内循環型換気で回りの空気の温度を著しく上げることのない調理器具を使用している場合は、前項のような外気負荷を考慮してエアコン選定する必要はありません。
◆室内循環型フードのご紹介
バブルクリーンフード
システムフード ※2018/03/27 内容一部変更